ディスクユニオン ジャズスタッフ 10月度レコメンド・ディスク

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2022.10.31

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ディスクユニオンのジャズ専門館スタッフが新譜の中で一押ししたいオススメ作品をご紹介!
今月リリースされた最新新譜はもちろん、改めて聴いたら良かった準新譜もコッソリと掲載。
最新新譜カタログ的にも、魅力ある作品の発掘的意味合いでも是非ご一読ください!




WAYNE SHORTER / LIVE AT THE DETROIT JAZZ FESTIVAL / JazzTOKYO 羽根

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008537627


本作は2017年のデトロイト国際ジャズ・フェスティヴァル、テリー・リン・キャリントンを中心としたスペシャル・ステージの録音である。ジャズ界における女性の地位向上の意識を強めてきたキャリントンは「Berkelee Institute of Jazz and Gender Justice」を創立し、近作"New Standards Vol.1"でも女性作曲家の楽曲を取り上げており、そちらも是非聴いていただきたいのだが、本ステージでもピアノには当初ジェリ・アレンが呼ばれる予定であったという。しかし直前のジェリ・アレンの急逝により、エスペランサの2009年大ヒット作"Chamber Music Society"などで幾度も競演を重ねてきたアルゼンチンの中堅レオ・ジェノベーゼが参加することになったらしい。キャリントン、エスペランサ、レオ・ジェノベーゼのトリオは非常に刺激的でクリエイティヴなプレイを本ステージでも繰り広げており、その部分だけでも聴きごたえ抜群の出来だ。これにエスペランサのヴォーカルも加わると更にクールになって、大変気持ち良い。一方で本アルバムのトップ・クレジットが示すように、ジャズ・ファンの期待がウェイン・ショーターのプレイであることは言うまでもない。そしてショーターは残酷なまでに素晴らしい。さっきまでトリオのハイセンスでクールな感覚にうっとりしていたのに、あぁ何という事だろう。ショーターが「プゥ~」と一音吹いただけで、耳が脳が持っていかれる。ショーターはブライアン・ブレイドらを従えた自身のカルテットでのショーター・ワールド全開の演奏とは明らかに異なるスタンスで、終始トリオに寄り添った控えめな口調であるのが更に怖い。まるで綺麗な花畑を眺めていたら、急に毒蛇と目が合ったような感覚である。80歳を超えてもあらゆる面で突き抜けており、比較対象のいないこのレジェンドの演奏を聴ける事に全てのジャズ・ファンは感謝と祈りを捧げ、CD購入という形で応えて欲しい。アナログ盤も2枚組LPが入荷予定である。





SAM GENDEL & SAM WILKES / MUSIC FOR SAXOFONE & BASS GUITAR MORE SONGS / JazzTOKYO 逆瀬川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008524330


奇跡的なデュオによる傑作『Music For Saxofone & Bass Guitar』の続編でありアウトテイクス。昨年7月にはデジタル・リリースされていたから1年とちょっとを経てようやくのCD化である。サウンドも演奏も方向性は変わらず、前作には収録されなかった新たな曲や、このデュオの人気曲であり、先日亡くなったファラオ・サンダースの「Greetings To Idris」を再録しているのも嬉しい。
個人的な思い出にはなるが、去る6月のFestival Fruezinhoでの、ゲンデルとウィルクスによる忘れがたいステージのことを書きたい。生で紡がれ重ねられていくあのエフェクトのかかった音は『Music For Saxofone & Bass Guitar』の世界そのもの。ステージで向かい合うようにして座る2人から生み出される親密な音楽は、カマシ・ワシントンなどとは異なる独特のスピリチュアリティを湛えていて、2人の姿を含めどこか美しい光景だった。立川の会場は2階席後方が野外と繋がるユニークな箱。まだ暑くなりきらない夏のはじまり、6月の宵空の下、オープンエアの後方席で聴く2人の音楽に、天にも昇るかのような心地を覚えたのだった。ライブとレコーディング作品が体験として全く違うことは承知しているが、前作と本作のローファイで催眠的な音に身を任せれば、あの日に戻るのは容易い。





TERRI LYNE CARRINGTON / NEW STANDARDS VOL.1 / JazzTOKYO 逆瀬川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008537629


女性ミュージシャンのみで固めたMosaic Projectや、前作『Waiting Game』に至るまで、テリ・リン・キャリントンは幾度となく、構造的なジェンダー格差がジャズ界にも存在することを示してきた。本作もまた、女性コンポーザー、ミュージシャンによる楽曲を取り上げたフェミニズム・アルバム。参加ミュージシャンも女性多数、「New Standards」とは楽曲のことだけでなく、ジェンダーギャップのない、本来あるべき姿の社会のことをも指しているのかもしれない。ゲストにはMelanie Charles、Samara Joy、Michael Mayo、Elena Pinderhughesと、今旬の若き才能ばかり。優れたコンテンポラリー作品に仕上がっており、現代ジャズのショーケースとしても注目すべき、まさに今という時代を反映した一枚。





マーク・ジュリアナ / ザ・サウンド・オブ・リスニング / JazzTOKYO 逆瀬川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245760919


マーク・ジュリアナのドラムって、なんであんなに感情を刺激するのだろうか。ブラッド・メルドーとの"Mehliana"でも、ビートミュージックでも、ジャズ・カルテットでも、デヴィッド・ボウイの『★』や、セイント・ヴィンセントのサポートでも。機械的正確性を要求されるエレクトロニック・ミュージックを下地の一つに持ちながら、彼のプレイは現代ジャズドラマーの中では稀なくらいエモーショナルで、曲のクライマックスに向けて畳み掛けるようなフィルに、いつも涙が出そうなくらい興奮する。
新作はジャズ・カルテットをベースに、一部でシンセや打ち込みを使用。パンデミック下、自分自身と向き合う時間を持ったことで生まれた内省的な作品で、過去の作品と比較しても楽曲、アレンジ、演奏も抑制的。またカルテットの演奏に挟まれる短い楽曲が瞑想的な雰囲気に引き込む。なんて書いていると今回は静かめでジュリアナのドラムが楽しめないような感じがするが、そんな抑制された雰囲気の中でも、従来のカルテットに近い楽曲は用意されているし、カッコいいドラムは健在。M2「the most important question」は、「One Month」「Inter-Are」を彷彿とさせるグルーヴと、終盤に向けて盛り上がっていく展開がまさにマーク・ジュリアナらしい。妻グレッチェン・パーラトの歌がそのまま乗りそうなポリリズムの「continuation」も楽しい。カルテットの延長線で新たな地平を描いた作品だ。





スナーキー・パピー / エンパイア・セントラル / JazzTOKYO 逆瀬川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008563361


観客を入れたスタジオ・ライブ・レコーディングが久々に復活、バンド結成の地ダラスの音楽シーンへのリスペクトが込められ、ジャマイカン・キャッツのバーナード・ライトがゲスト参加(にして最期のレコーディングとなった)しているという、いくつもトピックがあってそれを語るだけでも字数いっぱいになってしまう。思えばレーベル名にもなったアルバム『groundUP』からは10年が経つ。過去作と並べて聴くと、スナーキーの音楽はいい意味で変わっていないが、それでいて演奏もアレンジもクォリティは作品を経るごとに上がっていて、本作の完成度はやはり過去最高。ダラス・シーンへのオマージュでこれまでよりファンク成分多めなのも最高。スナーキー・パピーは"最高"というひとことに尽きるのだ。





スティーヴ・ガッド / センターステージ / JazzTOKYO  逆瀬川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245762503


スティーヴ・ガッドの最初のリーダーバンド"ガッド・ギャング"のレパートリーを、WDRビッグバンドとの共演で、当時のメンバーでもあった盟友エディ・ゴメスとロニー・キューバー(これがラスト・レコーディングになるのだろうか)を迎えて再演。ガッド・ギャングには欠かせない存在だったリチャード・ティーとコーネル・デュプリーは亡くなって久しいが、その不在を補うかのようなビッグバンドアレンジと、スナーキー・パピーでの活躍も目覚しいボビー・スパークスのオルガンを筆頭に、キーボードとギターのサポートメンバーの活躍もまったく不足ではない。ガッドのドラムもなんだか生き生きと聴こえるし、ガッド・ギャングから30余年を経た今のプレイが、オールドR&Bのフィーリングに完璧にマッチしている。ガッド・ギャングを愛聴したファンには感涙ものの一枚だ。





ローラ・アングラード / シェ・モア~私の場所 / JazzTOKYO 丸山

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245762297


デビュー作『アイヴ・ゴット・ジャスト・アバウト・エヴリシング』(2019) も話題となった新星ヴォーカリストのローラ・アングラードが、実力派ギタリストのサム・カーマイヤーを迎え、先人達の名曲をカヴァーしたシックでジャジーなフレンチ・ソングブックが登場しました。仏南部の小さな村に生まれ、米国コネティカット州で育ち、カナダのモントリオールを経て、現在はトロントを拠点に活動しているというローラ。清潔感にあふれた可憐な歌声で紡がれるフランス名歌の数々は新たな息吹を注がれてまさに輝くようです。#2, 9 にはアコーディオン奏者のベンジャミン・ローゼンブルームも加わっており、雰囲気たっぷりな仕上がりとなっています。秋の宵に一層の深みを与えてくれる、ヴォーカル・ファンにおすすめの一枚です。





SAMARA JOY / LINGER AWHILE / JazzTOKYO 丸山

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008536187


UKのWhirlwind Recordingsから発表した『SAMARA JOY』(2021) でその規格外の才を世に知らしめた、NY出身の新星ジャズ・ヴォーカリスト、サマラ・ジョイが名門ヴァ―ヴから放つメジャー・デビュー作品がこちら! 有名スタンダードから珍しい曲まで幅広く採り上げたソングリストを、ユニークかつオーセンティックなスタイルで、余力を残しつつ朗々と歌い上げる今季一推しの一枚です。Kenny Washington (ds except #10) や Pasquale Grasso (g except #1, 5) など実力派がサイドを固めている点にも注目。





FERRUCCIO SPINETTI / ARIE / JazzTOKYO 丸山

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008547838


米国のジェフ・バラード(ds) 全面参加!  伊のフェルッシオ・スピネッティ(b) 率いるピアノトリオが、フィレンツェの若手SSW エレナ・ロマーノ(vo) を全15曲中9曲にフィーチャーした2021年12月録音の良質盤がこちら。アルド・ロマーノ、エンリコ・ピエラヌンツィ、ブルーノ・トマゾ、エンリコ・ザ二シ、エンリコ・ラヴァ、パオロ・フレス、ルカ・フローレス、リタ ・マルコトゥリなど伊ジャズ奏者による楽曲を取り上げた "イタリアン・ジャズ・ソングブック" 的作品となっています。キレと深みを兼ね備え、円熟した佇まいの歌声が全体の印象を優美かつ思慮深いものにしています。奇才リタ ・マルコトゥリ(p) が2曲に参加している点にも注目。





MARIA MENDES / SAUDADE, COLOUR OF LOVE / JazzTOKYO 丸山

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008535255


ポルトガルに生まれ、オランダを第二の故郷として育ち、グラミー賞とラテン・グラミー賞にノミネートされたヴォーカリスト/作曲家マリア・メンデスによる 4th作品。『Close To Me』(2019) で共演したジョン・ビーズリー(グラミー賞受賞者)、蘭名門メトロポール・オーケストラとの再共演を果たしました。今回は 2022年5月アムステルダム・アイ湾音楽堂(Muziekgebouw aan 't IJ) でのライブで、ジャズとポルトガルの伝統歌唱「ファド」の素敵な出会いを演出。このコンサートのために初演・録音された新作と新オーケストレーション作品を楽しめる傑作です!





加藤真亜沙 / ソルーナ / JazzTOKYO 関口

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245762200


NYを中心に活動するピアニスト&作曲家の加藤真亜沙の音楽は“物語”だ。前作及びデビュー作『アンモーンの樹』では読み聞かせのように絵本をめくるようなサウンドの世界観が聴き手を引き込んでくれましたが2nd作となる今作はその後続編のような構成。『Solúna』は太陽(Sól)と月(Luna)を合わせた造語で、太陽の恵みや自然の壮大なパワーをイメージ。アンモーンの樹よりもさらに力強い音作りになりました。メンバーも注目してほしくて、マリアシュナイダーバンドでお馴染みのMichael RodriguezやRyan Keberleだったり、ドラムにはNYの精鋭・小川慶太、こちらもコンテンポラリーアンサンブルならではお任せ!のRemy Le Boeufなどが全面参加していて、コンテンポラリージャズアンサンブルのお得意様ミュージシャンでガッチリ固めたSolúnaバンドは超見物です。M3の「Ishonsho Abe」はこれこそ一曲に起承転結が詰まった大作楽曲なのでホント聴いてください。終盤の大テーマで泣かせにかかってきます。人柄も感じさせる真亜沙さんの音楽、大好きです。





RUFUS REID / CELEBRATION / JazzTOKYO 関口

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008555991


どうやら僕は秋になると弦楽重奏ジャズが聴きたくなるらしい。ジャズベース業界で重鎮とされるルーファス・リードの最新作は自らプロデュースの弦楽四重奏。そういえば昨年秋にリリースされた弦楽四重奏ジャズってなんだっけ…。上原ひろみだったような。あれもお気に入りだったなあ。普段“ザ・バンドセッション”ジャズを聴いている我々なのでこういった室内楽弦楽ジャズは新鮮である。そして弦楽器にしか出せない独特のエモーショナルさってあると思うんですよね。まん丸の満月が浮かぶ秋の夜のイメージがものすごく浮かびます。モダンジャズというフォーマットの中で新境地を開拓していく感じがいいですね。





ENRICO RAVA & FRED HERSCH / SONG IS YOU / JazzTOKYO 松本

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245762622


エンリコ・ラヴァのフリューゲルホーンはかなしい音がする。
ECMより、イタリアを代表するトランぺッターのエンリコ・ラヴァと、ブラッド・メルドーが師事したことでも知られるピアニスト フレッド・ハーシュによる初のデュオ・アルバム。去年の11月にスイスで録音された、アントニオ・カルロス・ジョビンやジェローム・カーン、モンクらの曲と二人の共作曲。どこまでも静かで、薄くて柔らかい半透明の膜に包まれているよう。フレッド・ハーシュのピアノもすごく素晴らしいけれど、私はどうしてもフリューゲルホーンに惹きつけられてしまう。きっと生きているなかで言葉では表すことのできないような繊細で複雑な感情を抱いてきたんじゃないだろうか。それが音になって出てきていると思う。力強くかっこいい演奏は多くの人の耳に届きやすいかもしれないが、ちいさくて見逃してしまいそうな静かな声こそ耳をじっくりと澄まして聴いていたい。





GADADU / WEATHERMAN IS WRONG / JazzTOKYO 松本

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008556654


ノルウェーのオスロを拠点に北欧のジャズ作品を中心にリリースするAMP Music & Records。このレーベルは北欧ジャズならではの透明感に加えて、一味違う個性を持った作品が多くてすきだ。今回は北欧ではないが、NY在住の石当あゆみ(sax)やNY都市圏のアンサンブルなどユニークなアーティストが集まった作曲プロジェクトの作品で、例えるなら夜明け前、空が少し青みかかってきて、でも人間たちはまだ眠っている時間。その間に自然がひっそりと奏でているような華やかで静かな音楽。曲目も自然に関するものが多い。リード・ヴォーカルを務めるのは、エレクトロニクスやフィールドレコーディングを組み込んだ独特のスタイルを持つ、ヴィオラ奏者でもあるハンナ・セリン。#1には虫の声がサンプリングされている。そして、ロバート・グラスパー「BLACK RADIOIII」に参加のYEBBAを彷彿とさせる神秘的な歌声。ストリングスやホーンが印象的かつエレクトロニクスも重なり、変則的なリズムで1曲の中に想像を超えてくるような展開がいくつもある。様々な物語と無限のアイデアが詰まっていてここには収まりきらない。





MAKAYA MCCRAVEN / IN THESE TIMES / JazzTOKYO 荒川、渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 小谷

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008513563


ブルー・ノートの名曲を再構築した『DECIPHERING THE MESSAGE』から1年、早くも新作である。モダン・ジャズの更新からはまた離れ、聴き手のイメージを喚起させるシネマティックさを増したというか、『UNIVERSAL BEINGS』の第1部を更に推し進めたような内容だ。重いブレイク・ビーツと流麗なストリングスからは、CADET期のドロシー・アシュビーに接近した見方もできるだろう。サポートは馴染みのジェフ・パーカーら同郷のメンバー達が揃っているが、ブランディー・ヤンガーのハープとジョエル・ロスのヴァイヴは今回特に貢献している。タイトルを見ればかつてのIN THE MOMENTからIN THESE TIMESに。マカヤ・マクレイヴンの存在感はますます大きくなるばかりだ。(JazzTOKYO 荒川)


文化的闘争からインスピレーションを受け、ポリ・テンポ(異なるテンポが同時に進行する作品集)を取り入れた作品。自身の様々なライブ、スタジオ音源を再編集して組み合わせており、異質な各トラックが奇妙な一体感を持つ。ある種さらに大きな枠組みとして「グルーヴ」を捉えているといえる。(渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 小谷)





JEREMY CUNNINGHAM/DUSTIN LAURENZI/PAUL BRYAN / BETTER GHOST (BULLION VINYL) / JazzTOKYO 荒川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008541600


2年ぶりの新作。ジェフ・パーカーのプロデュースもあってTHE NEW BREEDの影響が色濃いものだった前作からは変わり、ゲストはいるものの、ダスティ・ローレンツィ、ポール・ブライアンとのトリオを中心に作られたようだ。特にローレンツィとの相性がいいのだろう、このマルチ・プレーヤーのOP-1(シンセ)、サックスはカニングハムのドラムに実にうまく乗る。管は時にファラオ・サンダースのようにエモーショナルだ。シカゴ勢と共有する実験精神、ネットに無数に存在する何々WAVEにもアプローチできそうなSCI-FIなアンビエンス、それらを抒情的なインプロヴァイズでまとめ上げた今年随一の傑作として推薦する。このトリオをレギュラーにして次も作ってくれ!





JOHN COLTRANE / BLUE TRAIN (Blue Note TONE POET LP SERIES) / JazzTOKYO 山本

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008531775


今まで何枚か気になるタイトルはあったもののスルーし続けていたTONE POETシリーズを初購入。『BLUE TRAIN』のモノラル最新リマスターと言われると聴かないわけにはいきませんでした。早速自宅にあるNYラベル盤と聴き比べ。何度か繰り返したもののどちらが良いとか好きとかは決められず、オリジナル盤への憧れがより強くなってしまいました。そんなわけで趣旨はずれますが、当店『BLUE TRAIN』はあらゆるプレスも高価買取しております!





WOLFERT BREDERODE / RUINS AND REMAINS / JazzTOKYO 岸本

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008548102


オランダのピアニスト、Wolfert Brederodeの4作目のECMからのリリースとなる本作。ストリングスとピアノが前面に押し出されたシックな楽曲で構成されている。やはりこういう音楽はECMが最も得意とするところだろうな。"静寂の次に美しい音"、あまりにも伊達じゃなさすぎる。ストリングスとピアノはもちろんだがパーカッションがアルバム全体の雰囲気づくりに大きく貢献しているところも注目したい。ジャズの持つインタープレイの華やかさや個の問題ではなく、アンサンブル総体からなされる構成力と、ジャズの持つ熱気とは真逆の冷徹さというか、荒涼とした雰囲気はクールなリラクゼーションをもたらしてくれる。まさにこれからの季節にピッタリだ。涼しくなってきた外の空気を部屋に目一杯取り入れて、一人にこういうアルバムを聴いて、物思いに耽るのもいいかもしれない。





BASSO VALDAMBRINI QUINTET /  BOSSA NOVA! / 吉祥寺ジャズ館 中村

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008522150


イタリアの人気バンド、クインテット・バッソ・ヴァルタンブリーニが1962年に録音したボサノヴァ作品がGitto Musicから復刻リリースされました。1963年にRicordi社からリリースされたレコードとほぼ同じジャケット・デザインでの再発とのことで、ファンにはたまらない復刻盤です(ちなみにCDも同じタイミングで再発されました)。一応名義はQUINTETとなっていますが、実際は12名のメンバーが入れ代わり立ち代わり演奏している流動的なコンボ編成で10曲収録。優雅なレナート・セラーニのピアノ、フランコ・チェリの柔らかなギターも心地よい、センスの塊のようなユーロ・ボッサ作品です。





近藤等則、梅津和時、土取利行 / LIVE CONCERT 1974 / 吉祥寺ジャズ館 立石

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245761078


1974年青山VAN99ホールにて行われた、記録的フリージャズコンサートがCDでリリースです。<近藤等則>、<土取利行>、<梅津和時>、日本を代表するフリージャズ演奏家三名による録音です。20代半ばにして挑戦的に、そして荒々しく音の掛け合いが完成されています。日本の即興演奏ブームが巻き起こり、当時から今に至るまで、御三方は常に最前線で演奏されてきました。惜しくも近藤等則さんは亡くなられ、つい先日3回忌のコンサートが新宿ピットインで坂田明さん、土取利行さん、梅津和時さんの三名で行われました。私はその演奏を聴きにいって、こういった録音がまだ存在して、発売されることは貴重な時期に生きているのだと再認識しました。70年代、まだ若武者だった時代の近藤さん、土取さん、梅津さんのエネルギッシュな演奏を聴くことができます。日本即興演奏の貴重な記録…是非お買い求めくださいませ。





V.A. / Here It Is: A Tribute To Leonard Cohen (2LP) / 新宿ジャズ館 田中

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008531140


名プロデューサー Larry Kleinによる新たなプロジェクトから産み出されたエバーグリーンな1枚をリリース。
Norah JonesやGregory Porter、 Sarah McLachlan、 Peter GabrielなどJazz・Pops・Rockの枠を越えた豪華なヴォーカリスト達がLeonard Cohenによるこれからも愛されるべき楽曲群を彩る内容。
現代Jazzシーンを牽引するミュージシャンであるImmanuel Wilkins(sax)、Bill Frisell(gt)、Kevin Hays(p)、 Scott Colley(b)、Nate Smith(dr)ら5名がバックを固め、彼らによるインストルメンタルも1曲収録された聴きどころ満載の作品となっている。





Jacob Mann Big Band / Greatest Hits / 横浜関内ジャズ館 山田

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008466142


LAのルイス・コールをはじめ、サム・ウィルクス、クリスチャン・ユーマン、ムーンチャイルドのメンバー3人 (ナヴラン、マックス・ブリック、アンドリス・マットソン)のほか、ルイス・コールのライブ・サポート・メンバーやYouTubeで話題になった一軒家セッションで演奏しているメンバーも多数顔をそろえた未来系ビッグ・バンド作品。CDは6月にリリースされております。元々3つの配信限定EPをひとつのCDにまとめたため、全部で16曲(CDにはボーナストラックが収録され18曲)もあったため、ジェイコブ本人に10曲厳選してもらい、ようやくLPとしてリリースまで漕ぎつけました。改めてレコードで聴くと曲数も少なめで一曲一曲が短めなのでキュッと締まった印象。サウンドはタイトながら、脱力感やユーモラスでいい意味でちょっとふざけている感があり、レコードとの相性も非常に良いです。休憩時間やおやつの時間などに聴きたい一枚です。





JON IRABAGON / Bird With Streams / 横浜関内ジャズ館 山田

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008564469


前衛的なジャズ作品を多数リリースする米サックス奏者ジョン・イラバゴン。今作は完全サックス・ソロのチャーリー・パーカー曲集。元々バンド"Mostly Other People Do The Killing"でもジャケット含めモダン・ジャズのオマージュ的なアプローチは多いアーティストだったが、今回はチャーリー・パーカーのスタンダードをイラバゴンなりに解釈した、いや解釈しすぎてハリウッドザコシショウよろしく「誇張しすぎたチャーリー・パーカー」状態に。また、コロナの影響でニューヨークから離れ、ウェスト・バージニア州の田舎で日々練習に明け暮れていた時期の集大成的な作品のようで、屋外で収録されているためよくよく聴くと鳥の声や車の音などが収録されている。自然あふれる田舎でこんなヘンテコな音を爆音で吹き続けたとなると、さぞ動物たちもびっくりしたことだろう。





ORNETTE COLEMAN / Live 1965/66 / 渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 金子

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008559698


このジャケット写真、買付でスウェーデンを訪れた際に「ゴールデンサークル」があったところに飾ってあり写真をとった記憶がある。この他にもけっこうな数のアーティスト写真が飾ってあったがやはり「ゴールデンサークル」と言ったらオーネットだろう、と今も思っている。しかしこのアルバムはゴールデンサークルとは関係ない。演奏しているメンバーが同じだというだけだが、その内容の良さは言うまでもないだろう。





AMINA FIGAROVA / Joy / JazzTOKYO 西川

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008551623


アゼルバイジャン出身、現在はNYを中心に活躍している女流ピアニストの最新作。アルバムタイトルはパンデミック後の新たな始まりを祝したものだ。どの曲にも演奏できる喜び、情熱が溢れている。バート・プラトーの幽玄な音色に加えサックス、トランペットとのアンサンブルもよくアレンジされておりストレートなハード・バップに加えラテンの要素も加わった内容となっている。





サティスファクション / ジョン・チカイ / 新宿ジャズ館 木村

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008525435


ジョン・チカイとポーランドのベース奏者ヴィトルド・レクによるデュオアルバム。
ジョン・チカイはヨーロッパに戻ってから、ヤン・ガルバレクの様な耽美的な音色になった様に個人的には感じる。
そのチカイとヴィトルド・レクの重厚なベースが変幻自在に絡み合っていく。
ほど良い残響音が魂こもった音を引き立てている。





DAVID DORUZKA - PIOTR WYLEZOL - JEFF BALLARD / ANDROMEDA'S MYSTERY / 新宿ジャズ館 有馬

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008527938


ポーランド出身でクラシック素養を持つピアニストPiotr Wylezol。日本では00年代のピアノトリオブームで『Piano Trio』(07年)が認知され、その後Fresh Sound New Talentから『Children's Episodes』(09年)をリリース。潮流を汲んだサウンドと広い流通でインパクトを残し、普段NY系を聴くFSNTリスナーに格の違うピアニストが居ると認識させました。
隣国チェコ出身のギタリストDavid Doruzkaは、バークリー時代の同級生Kendrick Scottを起用して『Hidden Paths』(04年)を発表。Kurt Rosenwinkelの影響を感じさせる好演を見せた後、同じようにFresh Sound New Talentから『Wandering Song』(09年)を発表し、更なる認知を得た後、現在はチェコで後進の育成も行っているようです。
そして説明不要の現Brad Mehldau Trio正ドラマー、Jeff Ballardが参加し、ピアノ&ギター&ドラムのトリオとしてリリースされたのが本作です。
どういう繋がりで旧友だったのかは不明ですが、コロナ禍の2021年に録音されていた、なんとも通好みな組み合わせ。
実際にはDavid Doruzkaが中心的な役割を担い、チェコでの録音となったようですが、ギリシャ神話?への関心をロックやエレクトリックなアプローチで表現しています。
表題曲『Andromeda's Mystery』を含む5曲目からの壮大な流れは実に見事で、アメリカを拠点にしていたら産まれなかった音楽表現ではないでしょうか。
個人的にはPiotr Wylezolの『All My Tomorrows』(テーマもシナトラのものと似ていますが違うようです)のトリオアレンジと、この世界観に組み込んだ手腕にも脱帽です。





HARISH RAGHAVAN / In Tense / 新宿ジャズ館 四浦
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245759585


実に真っ当なジャズ作品である。前作にあたる2019年リリースの初リーダー作「Calls For Action」も、ジャズをこよなく愛するリスナーにたいへん好評を得ていた。2020年末のコロナの最中のレコーディングであったようで、本作にさまざまの影響を与えたことは容易に想像できる。本作のすべての曲を自身が作曲している。没入感のある魅惑的な楽曲群を並べ、タイトルの「In Tense」の状態をプレーヤーと聴き手の両者で共有させている。なんといってもこの作品を支える共演者の力量が本作の魅力を強靭なものにしている。





JOHN ZORN / Incerto / 新宿ジャズ館 久保田

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008540812


ブライアン・マルセラとジュリアン・ラージがゾーンの書いた曲を演奏したアルバムは数多くあれど、2人が共演した作品は不思議とこれが初めてではないでしょうか。内容は複雑ながらフリー要素は控えめで、ジュリアン・ラージ好きな方にはぜひ聴いていただきたく存じます。推薦曲はM6:Cascades。マルセラとジュリアン・ラージの音の絡み合いが実に瑞々しく、譜面であっても共に名手っぷりを遺憾なく発揮しています。しれっとホルヘ・ローダーのベース・ソロで始まる構成もハイセンスですね。





土取利行 / サヌカイト・ライヴ / 営業部 三橋

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008450258


長らく廃盤となっていた土取利行による「サヌカイト・ライヴ」がCDで再発。
"サヌカイト"とは前期旧石器時代から弥生時代の間に西日本で使われた石で、叩くとなんとも言えない美しい音色を奏でる逸品。その澄んだ音色は前知識なしで聴いても心地よく、吊るした風鈴が風によって鳴るような、人の気配を感じさせない繊細な演奏技術にも驚くばかり。この音色をトリガーとして、顔も姿も想像することができない、でも確かに存在した過去の人たちと出会いなおしてるような気もしますし、同時に写真家・中平卓馬の「来たるべき言葉のために」という言葉も思い出します。今年の春前、3月にリリースされた作品ではありますが改めて推薦いたします。





V.A. / Blue Note Re:imagined II  / 営業部 池田

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008507000


ありがとうデッカ、ありがとうブルーノート。一昨年大反響だったUK音楽シーンの精鋭たちによる夢のブルーノート作品リワーク集、第2弾が出ました!!!オスカー・ジェロームやテオン・クロスらジャズではお馴染みのメンツにヌビヤン・ツウィスト、スウィンドル、ルーベン・ジェームズなど今回もジャズ・シーンと繋がりのある才能溢れる面々が参加。普段はあまり触れないミュージシャンもこれを機に聴いてもらえたら嬉しいな~と思います。第1弾に比べると女性ヴォーカル作品が多いのもポイントの一つ!今年の秋冬は「Harvest Moon」と「Sunrise 」で。