急逝する1ヶ月前に行われた最後のスタジオ録音が、虚飾のないピュアで新鮮なサウンドとともに、今ここに甦る。
急逝する1ヶ月前に行われた最後のスタジオ録音が、虚飾のないピュアで新鮮なサウンドとともに、今ここに甦る。
4,000円(税込)
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※HYBRID SACD
最先端を行くモダン・ジャズの世界を疾走していたエリック・ドルフィーが、ベルリンで急逝する1ヶ月前に行われた最後のスタジオ録音です。アルト・サックス、フルート、バス・クラリネットによる音色が、虚飾のないピュアで新鮮なサウンドとともに、今ここに甦ります。
今回はSuper Audio CD層にステレオとモノラルの両ヴァージョンを収録しました。その違いと雰囲気も含めてお楽しみください。
■ESOTERICならではのこだわりのSuper Audio CDハイブリッド・ソフト
オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で継続して高い評価をいただいているESOTERICによる名盤復刻シリーズ。発売以来決定的名盤と評価され、現代にいたるまでカタログから消えたことのない名盤をオリジナル・マスターから進化したテクノロジーと感性とによってDSDマスタリングし、世界初のSuper Audio CDハイブリッド化を実現してきました。今回はフォンタナ・レーベルの名盤から、アナログ時代を代表する名演・名録音をSuper Audio CDハイブリッドで発売いたします。
■3ヶ月におよぶヨーロッパ生活のハイライトであった本作の収録
1964年6月29日にベルリンで客死したエリック・ドルフィー。彼が約1ヶ月前に残した、最後のスタジオ・セッションです。このレコーディングの直後、ドルフィーは単身アムステルダムからパリへ向かいました。そこにはガールフレンドのジョイス・モルデカイがバレエの修行中で、彼女に会いに行ったのです。8月に結婚する予定があったとされる2人は約1ヶ月をパリで過ごします。その間にドルフィーはドナルド・バードや現地のミュージシャンたちとセッションを交わし、6月27日、クラブ“タンジェント”に出演するためにベルリンへ旅立ちます。そこで持病の糖尿病が悪化し、“タンジェント”の演奏を3ステージ予定のところを2ステージで取りやめざるを得ませんでした。そして29日夜7時、アッヘンバッハ病院にて死去したのです。
エリック・ドルフィーがヨーロッパへ赴いたのは同年4月、チャールズ・ミンガス率いる“ジャズ・ワークショップ”のメンバーの一員としてのヨーロッパ公演へ同行するためでした。しかし、その公演が終了した後、ドルフィーだけが一人ヨーロッパに留まることになりました。そして突然の死を迎えることとなった3ヶ月間のヨーロッパ滞在のハイライトになったのが、この『ラスト・デイト』の収録でした。
■激動と変革の1964年ジャズ・シーンに刻まれたドルフィー最後の慟哭
1964年。日本では10月に新幹線が開通、東京オリンピックが開催された年ですが、前年11月にケネディ暗殺が起こるなど、日本だけでなく世界も大きく揺れ動いた時代でした。大きな変動は音楽の世界でも起きていました。1月にビートルズが全米ヒット・チャートを席巻し、後のアメリカ公演、エド・サリヴァン・ショウへの出演が世界的な出来事として報じられました。同時にジャズ界も大きく多様な変化の時期を迎えていました。前年、スタン・ゲッツとアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトによる「イパネマの娘」が大ヒット、ボサノヴァ・ブームが巻き起こり、年末にはリー・モーガンが「ザ・サイドワインダー」をレコーディング、ロック・ビートとジャズの融合がなされ、65年にはラムゼイ・ルイスの「ジ・インクラウド」がヒット・チャートを賑わし、加えてオーケストラを背景にしたイージー・リスニングを基調としたジャズ・アルバムの企画も生まれ始め、ポピュラーなヒット路線を狙ったジャズが台頭しはじめます。一方、急進的な前衛とされるアヴァンギャルドなフリー・ジャズも勢力を強め、64年7月にアルバート・アイラーが『スピリチュアル・ユニティ』をレコーディング、秋には“ジャズの10月革命”とも呼ばれたアヴァンギャルドを志向するミュージシャンがニューヨークに集結、これまた大きなイベントとして注目されました。エリック・ドルフィーもその一人とされていた最先端を行くモダン・ジャズも同様に大きな飛躍を遂げようとしていました。
マイルス・デイヴィスが64年夏に日本公演を行い、秋にはサックス奏者ウェイン・ショーターが加入、60年代を牽引する黄金のクインテットがここに完成しましたし、ジョン・コルトレーンは年末に最高傑作とも言われている『至上の愛』を録音、クァルテットとして最も充実した時期を迎えていました。そうした激動と多様性の時期にエリック・ドルフィーはベルリンで命を落とし、その約1ヶ月前に最高傑作と言われる『ラスト・デイト』をオランダの放送局で収録していたのです。
■入念なリハーサルを経て行われた完璧な演奏と記録
4月のミンガス・グループとの公演の後、ひとりヨーロッパに留まったエリック・ドルフィーは5月のほとんどをジョイス・モルデカイのいるパリで過ごしました。そして29日オランダへと向かいます。主たる目的は、オランダの放送局VARA(ファーラー)放送での公開ライヴ演奏を行うことでした。ファーラー放送はアムステルダム、ユトレヒトから鉄道で30分以内に位置する、緑の美しい景観が魅力的な“メディアの首都”とも呼ばれるヒルフェルスムにありました。放送収録のためのメンバーは現地のプロモーターがセッティングしたピアノ・トリオです。
ピアノのミシャ・メンゲルベルクは大指揮者ウィレム・メンゲルベルクの甥にもつ、クラシカルなトレーニングをしっかりと受けた人で、現代音楽にも造詣が深く、ドルフィーには最適なジャズ・プレーヤーです。ベースのジャック・ショールスはオランダを代表するベーシストで、歌手のアン・バートン、ピアニストのルイス・ヴァン・ダイクといった世界的なミュージシャンとの共演も多く、ドラムスのハン・ベニンクはフリー・ミュージックのドラマーとしても世界的な名声とキャリアを誇るヨーロッパ屈指の達人です。
彼らとの入念な打ち合わせ、リハーサルは本番まで毎日のように行われました。そして万全の状態で6月2日火曜日、夜に収録は行われました。スタジオには関係者をはじめ幾人ものリスナーが同席、いわばスタジオ・ライヴのような状況の中での演奏でした。8時30分頃にスタジオ入りした彼らはテスト・テイクとして「エピストロフィー」を演奏。その後、音量バランス、マイクの位置などの修正が行われ、エリック・ドルフィーがすべてを納得し、いよいよ収録は開始されました。
冒頭の爆発的なイントロによる「エピストロフィー」からドルフィーと彼のグループは入魂の演奏を展開します。最終曲「ミス・アン」が終わったのは11時。「明日早くパリに戻らなくては」と言い残しドルフィーはスタジオを後にしたのです。
■放送局録音ならではのシンプルかつフレッシュな生音が、演奏のリアリティを浮き彫りに!
初リリース盤はモノラル仕様。本作ではできる限りオリジナルと判断されたテープに遡り、マスタリングを行い全6曲を収録することにしました。
このセッションでドルフィーはバス・クラリネット、フルート、アルト・サックスの3つを吹いています。その音色を楽しむのもこのディスクの魅力。そのためにも素晴らしい音質が求められますが、それに応えられる見事なサウンドがここに甦りました。
リマスタリングはいつも通り、マスターの音を忠実に再現するべく試み、過去の諸作以上に、個々の音、そして全体のサウンドも引き締まった印象にまとめました。
あくまでも自然な雰囲気で、生録音に接しているようであり、現在としては実にナチュラルで生々しく感じられるサウンドです。
今回は後にリリースされたステレオ音声を主に収録。初期発売のモノラル音声も加えて収録しています。ステレオの音声は当時主流とされていた各楽器が左右に分かれる俗に言う“ピンポン・ステレオ”ではなく、モノラルを基調としたセンターに各楽器が集中するパターンで、その余韻や拍手などに広がりを感じさせるナチュラルな演出が施されています。モノラル以上の空気感を味わっていただければ、と思っております。
名演「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」冒頭のフルートと弓弾きベースのところなどは空間に広がるかのような余韻がライヴのムードを醸し出しますし、ドルフィーが駆使する3つの楽器の音色も十二分に楽しめ、デフォルメを廃した放送録音の素晴らしさを堪能することができる“ワン・タイム・パフォーマンス”に仕上げることができました。
■多様性を極めてきたジャズの生々しい姿を的確に再現することを目指したマスタリング
ジャズでもステレオ録音が定着した60年代後期の名盤ですが、SuperAudio CDハイブリッド化は今回が初めて。新たにマスターからSuperAudio CDの為にデジタルマスタリングを行いました。これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。
■エリック・ドルフィーの生涯を通じてのもっとも赤裸々な感情を吐露した演奏
「ドルフィーの音楽はすべてが胸を打つものとなっている。〈ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ〉はフルートという楽器による最高の演奏だ。人間的な感情を強く訴えてくる彼のプレイは、その中に悲痛な叫びがこめられているが、それでいて何とも言えない美しさが漂っている。バス・クラリネットによる冒頭曲はドルフィーの特色をよく出した演奏で、ピアノ・トリオも好演を繰り広げる。」(モダン・ジャズ名盤決定版500・音楽之友社ONTOMO MOOK・1993年)
「ミドル・テンポの快調なドルフィー節もさることながら、フルートによる絶品のバラード演奏がここにある。後にヨーロッパ・フリー・ジャズのリーダーとなるメンゲルベルクらとのコンビも素晴らしく、ラストに収録された「音楽は空気の中に消え、二度と捕まえることはできない」という名言(生声)とともに、この鬼才の残した永遠のジャズ遺産がここに刻まれている。」 (ゴールド・ディスク事典・スイングジャーナル社・1998年)
「死を予言するかのようなフルートの演奏は、まさにドルフィーの悲痛な叫びであり、彼の生涯を通じてのもっとも赤裸々な感情を吐露した演奏となっている。アルバムを通じてジャズが生んだあまりにも純粋な芸術家エリック・ドルフィーの心温まる人間性を感じさせる。」 (ジャズ・レコード百科'79・スイングジャーナル社・1979年)
「小手調べ的な雰囲気でスタートした冒頭曲のイントロからドルフィーは大胆なフレーズを吹いて、聴くものを彼の世界へと引きずり込んでしまう。オランダのプレイヤーたちが“神様”のプレイを前にして敬愛の念をこめたサポートを行っているのも印象に残る。」 (完全新版モダン・ジャズ名盤500・音楽之友社ONTOMO MOOK・1999年)
■エリック・ドルフィー (b-cl, fl, as)
ミシャ・メンゲルベルク (p)
ジャック・ショールス (b)
ハン・ベニンク (ds)
[録音] 1964年6月2日、VARA放送第56スタジオ、ヒルフェルスム、オランダ
[初出] Fontana 681 008 ZL (MONO) 1965年 / Limelight LM 82013 (MONO) LS 86013 (STEREO) 1965年
[日本盤初出]Mercury SMX-7009 (STEREO) 1968年
[オリジナル・レコーディング]
[プロデューサー] マイケル・デ・ロイター
[レコーディング・エンジニア] ヨス・ヴァン・ヒューケロム
[Super Audio CDプロデューサー] 吉田 穣(エソテリック・マスタリングセンター)
[Super Audio CDエグゼクティブ・プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 東野真哉(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CDリマスター] 2026年4月 エソテリック・オーディオルーム、「Esoteric Mastering」システム
[解説] 岡崎正通 野澤龍介
[企画・販売] ティアック株式会社
[企画・協力] 東京電化株式会社
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ERIC DOLPHY / エリック・ドルフィー