《連載コラム》 幸枝の『惑星円盤探査録』Vol.27

  • 日本のロック
  • 惑星円盤探査録

2022.04.14

  • LINE

  • メール



「惑星円盤探査録 Vol.27」

Double
『Shake』




小学5年生の時に仲良くなった子は、浜崎あゆみ氏顔負けのビッグアイな超美人だった。
その子とは家も近くお互い鍵っ子ということもありしょっちゅう一緒に遊んでいたのだが、今思えば彼女はかなり早熟で、「これ面白いよ」とオススメしてくれたどれも彼もが大人の感性で面白さが分かるものばかりであったように思う。
彼女に勧めてもらい、未だに好き!なものはたくさんあるが、特に勧めてもらって良かったと思うのがDoubleだ。
Doubleは当時姉妹ユニットでデビューして1stALBUM「Crystal」をリリースして間もないくらいの頃だった。このALBUMリリース直前に姉のSACHIKOさんが亡くなってしまい現在はTAKAKOさんお一人で活動なさっている。姉妹であったことをご存知ない方もいらっしゃることだろう。お二人のハーモニーがこの一枚で完結してしまったのは非常に残念でならない。
それまで流行りのJ-POPしか聴いていなかった自分(私の神である椎名林檎さんに出会う少し前だった)にとって、このかっこよさは文字通り異次元のものだった。
歌い方、トラック、歌詞の英語と日本語の混ざり方、MV…..全てが新鮮でうっとりするばかり。もしも椎名林檎さんに出会わなかったら、間違いなくR&Bシンガーを目指していたと確信できるほどセンセーショナルな存在だった。
特にこの「Shake」のcoolさったらない。90年代のネオソウルど真ん中の楽曲で、mixもトラックの素材もその王道だと思うのだが、いつ聴いてもかっこよさが色褪せることがない。
MVはかっこいいのにどこかお茶目さも垣間見える。とても素敵。
これを小学生時代に出逢い自分のアイデンティティにできたことは大きな財産で、お友だちには感謝しかない。
インプットは一生をかけて行うもので私たちの感性は死ぬまで磨かれていくものだけど、やはり幼少期から20歳までに何に出逢い感動したかが私たちの大きな根幹になっている。

最近は歌を鍛錬する日々。自分が演者側になり益々お二人のセンスと実力に舌を巻く。

時代が変わってもカッコいいものを生み出してくれたお二人に敬意を払いながら、私もそんな作品を生み出せるように立ち向かっていきたい。





≪前回までの"惑星円盤探査録"はこちら≫
一覧ページ




著者プロフィール

楓 幸枝
バンド活動を経て、現在はドラマー、作詞家、文筆業、MCなど活動の幅を広げている。
ミステリーハンターとしてフィンランドを取材するのが密かな夢。

Instagram
楓 幸枝(@yukie_kaede)